HEMLOCK‐ヘムロック‐

(こんな界の横顔を知ってるのは、私だけでいい。私だけがいい)


 盟はほぼ無意識下の衝動で、そっと界のシャツの袖を掴んだ。


「それでも“間違い”を犯す事は誰かを不幸にするわ」

「……俺がお前を巻き込んだ事がその“間違い”かも知れない」

「やめて!!
それは言いっこなしって、いつも言ってるでしょ!!!」

「……悪い」



 ふと我に返り、盟はいつの間にか掴んでいた界の袖から慌てて手を放した。

 暫くの沈黙の後、界が話を振ってきた。

「話戻るケドさ、豊島さんは誰にどうして殺されたと思う?」


 界のその質問の意図はハッキリ掴めなかったが、盟は神妙な表情で思案を巡らせた。


「彼は、……鞠 あさみを探しに1人で『Raiz』に行った。でも彼女はすでに界と興信所に向かっていた。
だとしたらアポロン本人か関連する人物とあさみの事で揉めて殺された?
でもアポロンは既にあさみを見限ってて、豊島さんとアポロンが争う理由なんて、……え?」

「そうだ。豊島さんはアサミンとアポロンが切れればそれでオッケーなんだ。つまりアポロンと争う理由はすでに無くなってる」
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