恋に恋しました。

「―ねえ、志望校決めた?」

中学2年の春。
進学して早々、当時の私は友人の言葉に顔を顰めた。

「なんで中2になってすぐにそんな言葉を聞かなきゃなんないの」
「だって、一年なんてあっと過ぎるんだよ?」
「そりゃ、そうだけど…」
「中2にもなったんだし進路を早く決めて、地道に頑張らないと痛い目見るよ」

少し以外だった。
話しかけてきた友人―村田まなみは、どちらかというと自分の人生?明日もわかんないのに考えてもしょーがないでしょ、なんてタイプだったから。
ああでもそうか。この子は一見ちゃらちゃらしてるけど、元々とても真面目で、達観していたりしたんだっけ―。

「まなみ、達観やめたの?」
「別にそういうわけじゃないけど。ただほら、来年慌てたくないし、あたしN高校行きたいから」
「N、って…あのAランクの?」
「うん」

こくりと頷くまなみ。
私たちが通う中学、というか、私たちが住む地域でも優秀だと評判のN高校。
偏差値は異様に高くて、制服なしの私服高校。
結構おしゃれな人が多くてそのうえ頭もいいとなれば誰もが羨むN高生。

けして私は頭がよくない、ってわけじゃないけど、でもまなみもNを目指せるほど頭がいいとは、悪いけどYESと頷けない。高望み、とかだろうか。…このこのことだから、違うだろうけど。
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