この世界で二度きみを殺す
そうしてご飯を食べ終え、一通り別のエリアを見て回った後、建物を出た。


ちさとの要望により、帰りは途中まで徒歩で。


結局母親からもらったご飯代は減っていない。



外に出ると太陽は傾き雲に覆われていて、

いつの間にか湿気と冷気を帯びている風に当たり、身震いをする。



おそらくこれから、雨が降る。



けれども、降る直前に最寄のバス停に逃げ込むつもりでいたので、中で傘を調達することはなかった。



昼間ほどの賑わいは無いものの、それなりの華やかさは残っている森エリアの駐車場を横切り、

そのままゆったりと商店街を突き抜けてゆく。


隣でちさとが鼻歌交じりにスキップを踏んでいる。


誕生日らしい事は、何一つしていないのに。



『あのギンガムチェックのエプロン、可愛かったなあ~~』



そう言って店内での事を思い出すように、雲に覆われた空を見上げる。


ラメ入りのファンデーションのせいか、

顔の角度が変わるたびに、きめの細かい肌がきらきらと光る。



『それなら早く言いなよ。買いに戻る?』


『あっ、ううん。そゆ事じゃないの。買うとしても、もちょっと先かな。
ただ、夢が広がるなーって』



その目は相変わらず雲を捉えていたけど、見ているものは別のものらしかった。


物じゃない"もの"を、見据える目。


遠くのものに、憧れる目。
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