私に恋を教えてくれてありがとう【上】
そんな淳一郎と
今では、患者からお祝いの言葉を浴びながら
一緒に回診をしているのだ。
お互い少しやりにくくもあり、
その都度
彼が照れ笑いをして
『私にはもったいない奥さんです』
などと言うもので、
この、“やりにくさ”に幸せを感じている。
私は、カルテを沢山乗せたワゴンを引き、淳一郎について回った。
淳一郎は大部屋の患者を手際よく診ていった。
そして最後に、昨日紹介状を持って入院してきた
牧田という患者の個室の前にきた。