私に恋を教えてくれてありがとう【上】
「えーーーーー……まーーーきたさん。

 うんうん。。。」




淳一郎はカルテを見ながら、ちらっとこちらを見た。





「白石 ……日は少し疲れてません?」




低くて穏やかな声だ。




「……!!え!あぁ!!」





心地よくて返事に遅れが生じてしまった。




と、同時にワゴンに腰を強打し

40(しじゅう)の女性のように腰を



 あたたた……と さすった。






見事に“いつもどおりのそら”をやり損ねた。




淳一郎はぽんぽんっとそらの肩をたたいて





「何かあったら言ってくださいね?

 あ、……そうです


 君の昨日の下腹部痛、気になるので

 今日、尿を採っておいてくださいね

 

 膀胱炎かも……
 
 じゃぁ入りますよ?」




と、淳一郎はほのかな優しさを見せて

個室の中へと入って行った。





淳一郎はいつも私の事を考えてくれるのだ。




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