きらい、すき、あいしてる。

ゆるやかに疾走




4月。
出会いと別れの季節なんて、ありきたりな謡い文句。



クリーニングに出していた制服を着て、柔い春風が吹く道を歩く。


無事に二年生に進級できた。
(まあ、当たり前だけど)

今日は始業式。
昇降口に張り出されてるクラス表を見ようと人混みを掻き分けた。


「きゃ、」


けど、前へ進むことはなくて逆に放り出されてしまった。



バランスを崩し、後ろへ倒れる。



―…!!!!



後頭部への痛みを覚悟して、目をつむった。


二秒、三秒。
待てど痛みは襲うことはなくて、かわりに煙草の香りが鼻をついた。


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