氷の上のプリンセス

見ると、赤いボストンバックを肩にかけた結城先輩が、綺麗な顔冷たい表情をし、こちらを見ていた。


「うるせぇよ、お前。」

えっ、私?


私が、先輩の目を見ると、
先輩は、私とは目を合わせずに、斜め上の方に視線を向けている。


「別にうるさくしてないですよ、先輩。」


ああ、真君に言ったんだ。


さっき、真って呼び捨てしてたし。


ちょっと、ほっとした。

「何してんだよ、こんなとこで。
お前、帰ったんじゃなかったのか?」


「その予定だったんスけど、この子と、ちょっと用事ができちゃって♪」

『はぃ?
別に、用事なんて……んんん゛!』

言い掛けようとしたら、真君に口を抑えられた。

こいつぅ!!



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