氷の上のプリンセス

「なにしてんの?」


後ろから、私の知ってる低い声が聞こえた。


「あっ、結城…。
お前こそ、何か用かよ?」


「…別に。


実莉、こっちこい。」


先輩が、無表情のまま男の子たちを見ながら言った。


『はっ、はいっ!!』


私は、結城先輩の後ろに素早く逃げた。


「ちっ、結城の女かよ。」


3人の男の子たちは、
案外あっさりと去って行ってくれた。


良かったぁ、助かった…。


結城先輩の肩越しに、彼らを見送り、ほっと胸をなで下ろしていたとき、

「お前さぁ………。」


先輩の声が、少し怒ってるように聞こえ、びくりとする。


おそるおそる、
私は先輩の方を上目づかいで徐々に顔をあげた。



< 67 / 161 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop