氷の上のプリンセス
ドンッ!
先輩の顔が全部見えた時、
いきなり背中に壁が押し当たり、軽い痛みを感じた。
目の前には、先輩の顔がものすごく近い位置にある。
気がつくと、私の両肩を壁に押し当てた結城先輩の両腕の中にいた。
切れ長のキレイな瞳が、私を見て動かない。
強い力で抑えられ、頭はパニックになる。
「お前さぁ…、
もう少し警戒感持て。
いつも、男に絡まれてんじゃねぇよ。
無自覚なんだろうけど、気をつけろよ。」
私は、何も反応できずにいた。
突然の出来事にパニックになった私の結果は……、
涙を流すことだった。
「泣くなよ……。」
そう言って、私の涙をすくった先輩の顔と声が優しくなる。
私は、変わっていく先輩の表情に目を離せずにいた。
すると、だんだん先輩の顔が近づいてきて……、
唇と唇が合わさる寸前で止まった。
思考がついてけない私の頭は、放心状態。
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