ロデオ・カルテット─シールドロック─鳥籠編
一章 戦争
 古来より、政府と神官の間には深い溝がある。

 元々、先人達が何を理由に争って居たのかと言えば、神様が存在するか否かの問題だったが、今ではそれを名目に、実権の奪い合いをしているにすぎない。

 彼と副の二人が、盗賊を倒した後に待ち受けていた町は、政府と神官の配下による小競り合いの真っ最中だった。

 本来なら、素通りするべき状態にあったのだが、入国手続きの際に受付の人間が、彼の素性に気付いてしまった。

 彼の連れ、副。

 名前をスピカといい、一応、副隊長の称号を持つ人物が必死で説明を試みたが、時、既に遅く、このリダルの市長だか議員だかと部下数十名が仰々しく二人を出迎えに来た後だった。

 この、行動の早さからして、二人がリダルを通過することが何者かにより漏れていた可能性がある。

 それを、市長のコクリートに気付かれないように、スピカは彼に言った。

 やがて、役所に着く。

「え、僕、何もしませんってっ」

「申し訳ありませんな。
 我々は、神に用事があるのですよ。
 如何に同政府の人間とはいえ、この先の立ち入りを許可することはできません」

 扉の前で、スピカの背に押し付けられたナイフ。
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