ロデオ・カルテット─シールドロック─鳥籠編
 慌てるスピカとは真逆に、慣れきった彼の表情がある。

「どこもかしこも、やり口は変わらない訳だな。
 それで、何をさせるきだ」

「そう焦る必要はないでしょう。
 おい、お連れの方には別室で休んで貰ってくれ」

 コクリートは、無表情のまま部下に指示を出し不可解に顔を歪めるスピカを、彼の前から連れ去ってしまう。

 彼は溜め息混じりにそれを見送り、コクリートの促しで部屋へと足を踏み入れた。

 部屋は、フローリングと呼ばれる板張りの床で窓際に市長が使う机、壁際に奇妙に武装した人形二体が置かれ、入口の左側に抽象画が飾られていて、その中央にソファとテーブルが置いてある。

 彼は礼儀もなくソファを陣取ると、サングラスを外してコクリートを見据えた。

 背の高い中年男が、戦争中とは思えない程の贅沢な身なりをして笑みを浮かべている。

「神、云々は兎も角さ。
 神官を消せ的な要件は呑まないことにしてるからそのつもりで」

 彼も彼で、そんなコクリートに笑みを作り替えしただけだった。
< 5 / 142 >

この作品をシェア

pagetop