愛のない世界
悲痛なまでの彩香の心は、いつの間にか痛みを越え、傷付いた心さえも消し去ってしまった…



その時、彩香は誓った。


もう二度と、本気で人を愛さないと…


もう二度と、人をも信じない…


もう二度と、傷付きたくないから…


あの日あの時、彩香は心に誓い、今を生きてきて。


今もその気持ちは、変わらなかった。




あの男に出会う前までは…



そして、彩香の心は揺れた。


『もしかしたら…』
などの微かな望みを、この余命幾ばくも無い男に託してみたい…。

そんな儚い夢を…

が、しかし…
この男と幸福せになる、自分の姿が想像つかなかった。



未来予想図を描けない男が悪いのか。


それとも、愛するコトに臆病な彩香が悪いのか…



もし原因が、後者ならば彩香自身の問題なのだ。


彩香自身の…





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