愛のない世界
永遠の愛…


それは、まがい物の愛だった。


まがい物の愛だと知った時、彩香は信じなかった。


いや、信じたくなかった。


その頃の彩香は、現実を受け入れるだけの余裕もなく、大人でもなかった。


ただまがい物の愛に、しがみ付くしかなかった。


いつか形を変え、本物の愛になるのだと信じたかったから…



しかし、まがい物の愛は悪びれるコトなく彩香に牙を向け、無惨にも切りつけた。


彩香の心を、深い深い紅へと染めていったのだ…。




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