蒼い月の雫
「いや・・・でもさ.家の人にも悪いだろ?」


少々戸惑いながら少年は言った.

「大丈夫.アタシ,一人暮らしなの.それに,助けてもらったからお礼もしたいの」


少年は軽く微笑んで答えた.


「じゃあ,お邪魔させてもらうよ.悪いね」


「あ,名前!アタシは里田 狼.高1だよ」


狼の名前を聞いて少年の顔が僅かに変化した.が,狼は気付いてはいなかった.


「俺は・・・澄杜 狗音(すみもり くおん).19歳だ」


年齢を聞いて狼は少し驚いた.狗音は見た目だけなら同い年に見える.


「あ・・・年上だったんですね・・・.ごめんなさい・・・タメ口で・・・」

「いや.そのままでいいよ.俺敬語とか苦手だからさ」


「分かった.じゃあ行こう?」



2人は暗くなった道を歩き出した.
頭上には,蒼く輝く月が2人を照らしていた.


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