純恋



「‥貴仁ぉ‥ごめんねっ、ごめんね
赤ちゃん‥死んじゃったぁ」



あたしは溜まっていた涙を
次々に出して起き上がれない体を恨み
手だけで貴仁を掴んだ。



貴仁はあたしを上から優しく
優しくふわりと包んでくれた。



「紗瑛は悪くないから。」


貴仁はこの言葉を何度も繰り返し
子供をあやすように
あたしの頭を撫でてくれた。


あたしは貴仁の名前を
ずっと‥ずっと呼び続けていた。


そして泣き疲れたあたしは
いつのまにか眠りについていた。



< 57 / 143 >

この作品をシェア

pagetop