足跡たどって
「じゃあ、ずっとここにいれば。怖いお化けと一生暮らすっていうのも楽しいかもな。」

「ちょ、ちょっと。」

そりゃあ、一平ちゃんの小脇に抱えられるのもおんぶされるのも嫌だけど、こんなところに一人で置き去りの方が、もっと嫌だ。

「なにせ、お化け屋敷だ。白骨死体が、一つ増えたところで誰も気が付かないだろうな。」

「悪い冗談やめてよ。」

「達者でな。俺も後七十年もすれば、そっちに逝くから。」

一平ちゃんは、笑顔で言うと、私を置き去りにして一人ですたすた歩き始めた。

「ちょっと、待って!」

思わず、叫んでしまった。

一平ちゃんの足が、ピタリと止まった。

「の、乗せていって下さい。」

悔し紛れに言うと、一平ちゃんは、くるりと向きを変えて私のところに戻ってきた。

「はい、了解。最初から素直にそう言えばいいのに。」
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