夕凪の花嫁
花嫁の失踪
最初は気まぐれだった。



珍しい琥珀の瞳と艶やかな長い黒髪の少女を一目見、その時ほしいと強く思ったからだった。



結界に囲われた大屋敷の縁側に、紅葉が浮かぶ緋色の着物を纏った少女はいた。突然現れ結界を壊しても、驚かずただ、薄笑いを浮かべる。



「おまえが気に入った、名は何という?」

「琥珀姫と申します」

「こはく、か。オレは夕凪だ。オレと共に来ないか?おまえを花嫁として迎え入れよう」

「はい」



迷いのない真っ直ぐな瞳で深く頷いた。






まるで、最初からすべてわかっているようだった。






“こうなる事”を






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