優しい雨
優しい雨
病院を後にした頃には、もうすっかり暗くなっていた。


雨は細く柔らかく、暗い空から落ちて来る。


私は傘を差して歩きながら彼の携帯に電話した。



「もしもし」

「どこに居るの?」

彼はすぐに私に訊いた。

「今、病院を出て駅に向かって歩いているところ」

「どこら辺?俺は病院の近くのファーストフードの店にいるから、今から行くから濡れないところで待っていて」


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