ほっとちょこれーと *【完】

「あ……やっべぇ教室に携帯置いてきちゃった。先行ってて」

「おう わかった」




図書室までもう少しのとこで郁哉がそう言ったから


俺は1人で図書室に向かう。


ドアを開けて中に入る。



人の気配




「見守るって決めたんだ。頼むから……期待させないでくれ」





あれ日曜日なのに誰かいる。


しかもなんだか聞き覚えのある声


こっそりと音をたてないように、本棚のかげから声の主の姿を確認する。




伊吹先輩?





「心結といると諦めきれなくなる」

「………。」




もう1人は心結先輩


……なんでこんなとこいんだよ


ぐっと胸が苦しくなる。




聞きたくないのに2人の会話に聞き耳をたてる。





「鈍感な心結でもわかるように言うよ。俺はお前が好きだ」




え?今なんて………


俺は自分の耳を疑う。

伊吹先輩告ってる?

嘘だろ………




なんで………




「………っ」




ガササッ


つま先が本棚に当たって本が床に落ちた。


あ……やべ


2人が振り返る。



俺は逃げるようにその場をあとにした。
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