ほっとちょこれーと *【完】



「メールだ」

「誰から?」



「………。」

「結城か」



何でもお見通しの颯斗

黙るあたしの肩に軽く手を置く。






『3年前のあの場所に来て 待ってる』



あの場所………



翼があたしに告白してきたところ

あたしが翼にキスしたところ




「心結」

「………。」

「行けよ」



颯斗があたしの背中を押す。



「……行けないよ」



翼にどんな顔して会えばいいのかわかんない。




「心結は強い」

「………。」

「だから大丈夫」



颯斗が言う。

いつもあたしのことを励ましてくれた声




「心結には本当に幸せになってほしいんだ」

「………颯斗」

「俺じゃなくてもいい 他の誰でもいいって思ってた」

「………。」


「でも今は違う」

「え?」





「゙結城"と幸せになってほしい」




颯斗の言葉はいつもあたしに一歩を踏み出す勇気をくれる。


正しい道を教えてくれる。


颯斗の存在はあたしの中でいつも大部分を占めていて

家族みたいな存在なんだと思う。


本当に大好きなの……




「あたし……行くね」

「うん」



翼に会おう。


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