ほっとちょこれーと *【完】

「折れてますね」

「………。」

「よくこんな状態で部活やってましたね。日常生活にも支障がでるくらいのケガですよ。いつからですか?」

「……3週間前」

「はぁ、もっと早く来てください」




病院の先生がレントゲンを見ながら呆れた声で言う。


颯斗の足は明らかに腫れてる。



「試合なんてもってのほか走ったり衝撃与えないでくださいね」

「……テーピングでどうにかならないですか?」

「無理ですね。安静にしてください。将来に影響しますから」

「……。」



事実上のドクターストップ


あれ

3週間前



「あ……もしかしてあの時?」



階段であたしを庇った時



『しばらく……俺が部活休むよ』


ケガしたんだ。



『俺に任せろって。1週間……練習できないくらいどうっとことねぇよ。テスト終わったらまだそこから2週間あんだからさ。休養休養♪』



颯斗

自分のケガが軽くないって気づいてたんだ。


わかってて言わなかったんだ。



やだ……泣きそう。



「心結、お前ちょっと待合室で待っとけ」


藍田先生に言われて診察室を出る。




< 82 / 300 >

この作品をシェア

pagetop