ほっとちょこれーと *【完】

こないだもめた俺みたいだ。



「試合出てんのに全然ボール回ってこなくてさ、しかもその試合負けて俺の責任みたいにされたんだ」

「……。」



ひでぇな。


そんな経験があったから

俺が長谷川先輩ともめたとき必死に庇ってくれたんだ。



「サッカーやめようと思った。続けても意味ねぇやってやけになってた。だけどその試合のあと相手チームのマネが俺のとこ来て言ったんだ」

「なんて?」




「あなたにボールが集まってたら負けてたかも。もったいないね、上手いのに。あぁ!FWやめてGKになればいいじゃん……って」

「それで」


「そう それでGKになったんだ。基本個人技だからさ自分がミスさえしなきゃ人のミスまで責任負わないでいいじゃん?」



キャプテンは立ち上がっ。



「中学のときも今までも……攻撃の前線にいない俺はずっと、1人でサッカーしてる気でいた。だから嬉しかった。結城が全員サッカーって言ってくれて」

「え?」


「いまいち実感なかったんだ。みんなと一緒にプレーしてるって……初めてキーパーが個人技じゃなく思えた」



< 90 / 300 >

この作品をシェア

pagetop