年上女ですが…それが何か???
「ははは…、今日は何か特別な用事でも?」
内心ムカつきながらも伝票を差し出すと、ちょいちょいと指で私を呼ぶ春日さん。
「……何ですか?」
首をかしげながら私がその傍へと近づくと、意味深にドアの方へと視線を走らせた。
「外、誰も居なかった?」
「………は?居ませんでしたが?」
「あのね、篠原さんだけには言っちゃうけど、ここ最近、一人の男子生徒にちょっと気に入られちゃったみたいでね、私。
この位の時間になると、授業を抜け出してこの周りをうろつくようになったのよ。ホント、困っちゃうわぁ」
「………え…?」
「いやねぇ、もうっ。
私だってまだ30代独身女なのよ?
高校生にそういう目で見られることぐらいあるんだからぁ!」
………マジ???
近所のおばさん並に私の肩をバシバシ叩く春日さんの顔は、言われてみれば30代に見えなくもない…………かな?
「それで……化粧直しを?」
「やっだぁ!そんなんじゃないわよう。
ただね、やっぱりいつでも綺麗に見られたいもんでしょ?女ってのは。
それに10代の男の子の夢を壊したくないっていうか……」
そう言って赤い顔でもじもじとエプロンの紐をいじってる春日さんは、まるで恋する乙女のようで。
「なんか羨ましいです。
いいですね?毎日若い子に囲まれて。
今の春日さんを見たら、その子も思い切って想いを伝える気になるかもしれませんね」
気づいたら、私とは思えないようなことを口走っていた。
「ええー!? 私が高校生と付き合うなんて!!」
………いや、そこまで言ってないですって。
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