キミが好き。



「お母さんのお墓なの」



「えっ?」



「ここに来る前にお花を買いたかったんだけど

寝過ごしちゃったから仕方ないよね、

あっ、玲音?これ見て」



「花束?」



お墓の前には大きな白い薔薇の花束が置いてあった



「お父さんがね

きっとほぼ毎日ここに来て色々なお花の花束をお供えしてるみたい

だから私はここに来るときには、うんと大きな花束を買って来るの

お父さんに負けたくないから(笑)」



「そっか、俺が寝なければ寝過ごすことなく……きっと大きな花束を買えたのに…ごめん」



「別に、私が悪いんだし謝らないで

ホントはね!

毎年命日に来たいんだけど

お父さんはお母さんの命日を教えてくれないから

たまに来て海風に当たりながらぼーっとするの

気持ちいいよ」



亜梨子の髪がふんわりと揺れた





< 296 / 312 >

この作品をシェア

pagetop