あの夏の日
プロローグ
あたしは夏美。
2年前に来た海であの人と向き合っている。
気持ちの整理がつかないあたしの手は震えていて、きっとあの人もそうだ。
なんで、またこの海でなんだろう・・・
忘れようと思ったけど忘れれなかったあの人が向き合う形で5、6メートル先ぐらいにいる。
波の音があたしの心を奪っていく。そんな気がした。
あれは、高校2年生の時。17歳の時。
あたしは夏生まれの女の子。
17年間夏を嫌ったことはなかった。
なかった・・・
なかった・・・んだ・・・17年間は・・・。
でも、いつも夏になるといろいろ思い出して最近では嫌になっている。
でも、その夏があったから今の自分があるんだと思う。
もし、あの夏にあの人に会ってなかったら?
もし、あの夏に海いに行ってなかったら?
もし、あの夏に雨が降っていれば?
もし、あの夏に行かなければ?
もし・・・もし・・・あの夏がなければ?
何度そう思ったかな?
でも、目の前にいるあの人を見ると、そうは思わなくなって、
何度も忘れようとしたあの人と過ごした過去がよみがえる。
駄目だ・・・あたし駄目だ・・・こんなに考えてたら始まらない。
そう思ってあたしは走って行った。
その先は・・・・