白い鼓動灰色の微熱
もしや、子供のいうように、地球を吊り上げようとしてるんじゃないだろうか。
 
そんな不安がよぎった。
 
ところが、そんなのは一気に払拭された。
 
一番下にね魚を吊り上げるようについている針に、何かくっついている。
 
このヌボッとした釣られ方は、もしやボラか。
 
それでもいい。

何もつれないよりは大物のボラでも吊り上げた方が、子供の手前、格好がつくというもんだ。
 
だがそれはボラではなかった。
 
魚ですらなかった。
 
吊り上げられたそれはくるりと回転した。
 
子供が叫んで逃げ出した。
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