白い鼓動灰色の微熱
「彩世君」

振り返ると、見覚えのある顔が彩世の耳元に唇を寄せていたために、すぐ傍にあった。
 
キヨカ
 
その名前がスッと彩世の頭に浮かんだ。
 
童顔の可愛らしい顔。

彩人の彼女だ。
 
肩に置かれた冷たい手を見た。
 
細く長い、しなやかな指。
 
咲のモノよりもさらに彩世の理想に近かった。
 
彩世が見ているのに気付くと、キヨカは、それが迷惑だったと思ったのか、手をのけた。
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