君が嫌いな君が好き
稚葉弥はずっとうつむいている。


だから・・・寝坊とか嘘ついたのか。


・・・なんでオレに言ってくれなかったんだ・・・。




休み時間、オレは真っ先に稚葉弥のもとへ向かった。


「稚葉弥!転校って・・・」


「・・・ほんとだよ」



・・・!

まじかよ・・・。


担任は今月いっぱいって言ってたから・・・


・・・あと1週間しかねぇじゃねぇか!




「・・・心配しないで・・・智。
あたし・・・引っ越し先で夢・・・叶えるから」





稚葉弥の夢・・・それは女優になること。





ガキの頃からずっと言ってたな・・・。





“ともくん!ちぃね、おーきくなったらじょゆーになるのー!”





・・・なれるよ


稚葉弥なら


女優でもアイドルでも


ただオレは


お前が遠くに行ってしまうなんて


想像もつかないんだ―――――――・・・
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