君と見たアガイティーラ
そして朝八時半。

連絡船は時刻通りに石垣島の桟橋に到着した。
それで、言われた通りにラッキーモータースに電話をかけた。

昨日と同じ男の人が電話に出た。

「じゃあ今からお迎えに行きます。
玄関を出ると、左手にタクシー乗り場の前ですけど、ベンチがあるから、そこで座って待っていて下さい。」

私は、二日前、初めて石垣島に来た日におずおずと開けたターミナルの扉から外に出た。

左手には単なるコンクリートのかたまりのベンチがあった。

腰をかけて待つこと五分か十分か。

その間、大きな荷物を持った人々がターミナルに入ったり出たりしていた。
石垣島やその周囲の離島で暮らす人達のようだった。

そんな人達を眺めながら言われた通りに座っていたら、迎えが来た。
車はシルバーのプレオで、野球帽にサングラスの真っ黒に焼けた男の人が元気よく車から走り出てきた。
ぱたぱたぱたとこっちにやって来て、私の名前を呼び、スーツケースを後に乗せ、私を助手席に乗せた。

その人がタツヤさんだった。

< 9 / 9 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop