リトルシークレット


職員室から出た瞬間、

「…無理無理無理無理っ!!」
途端に縁が騒ぎだす
付き添いの麻緒が何が無理なのと、分かりきったことを意地悪して問う。
「何がって、これ!今もらったこれなのですよ!なんで10枚も!?私なにがわるいことした!?数学なんて無理無理無理!絶対無理!」
悲痛な声を上げながら手をばたばたするものだから通行に邪魔な上、この上ない。
「じゃあ、今まできちんと出しときゃ良かったんじゃないの?溜め込んでたあんたが悪い!」
「…別にこんなことをしても将来に役立つ保障はないのだよ…。」
正論を言う麻緒に対してぷーて拗ねた縁が屁理屈を言う。
「…でも、縁、これ出さなきゃ進級は危ういんだよ?」
「心配ご無用!私には進級するつもりはないんだよ!いぇーいっ!」
ウインクしてベロだし、挙げ句の果てには親指立てたこぶしを前に突き出しながら言うものだから、麻緒は唖然とするほかなかった。

縁はよく、学校止めると口にする子だから驚かないのだか、ここまで爽やかに言うものだから寧ろ清々しいほどのものだと思う。


「……。はぁ…、分かった分かった!でも今はいるんだから、今はきちんとすること!」
麻緒が言った
< 3 / 10 >

この作品をシェア

pagetop