Anniversary.
か、可愛い!
それってあたしが!?


「“服”がな」


「――― っっ」


そうだった、忘れていた。 いくら、極上スマイルを向けてきてくれたって、いっくんがあたしを“可愛い”なんて言うわけ無いよね。


死んでも…… この世が終わる時にでも言わないようなヤツだ!



「なに? まお。 自分が可愛いって言われていると思ったのか?」


「違うし」


本当はちょっと期待した。

…… でも、それは内緒。


絶対、からかわれるもん。



「ほら、ホーム行こうよ。 電車来るよっっ」


いつまでも外にいる必要は無い。


いっくんを置いて、さっさっと階段を登って行った。


もう、知らない。
少しだけ…… ほーーーんの少しだけど、オシャレしたのにっっ。


頑張らなきゃよかったな。



「まお」


どこか、楽しそうにあたしな名前を呼ぶ。


「なに?」


ゆっくりと階段を登ってくるいっくんを見下ろす。





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