Anniversary.
ポツリとこぼした声に反応した。


「…… どうして」


「いっくんは、黒が似合うから」


白が似合わないわけじゃない。

実際、いっくんの部屋には白い小物? 白い本棚が置いてあるし。

今日着ている服だって、白っぽい。


「ふーん。 黒にするわ」


えっ、そんなに簡単に決めちゃっていいわけ?

あたしが“黒がいい”って言っただけであって、いっくんの意志は?


おーーーーい!
テキパキ歩いてレジでお会計なんかしちゃっているけど…… いいの?



「まおが選んでくれたやつだから、黒にする」


「いいの?」


「まおが俺の為に選んでくれたのって初めてだから、黒にする」


そういえばそうかも……。 今まで何度かいっくんと買い物に来ても、あたしの物を選んでくれたりしたけど。

あたしがいっくんのを選ぶって事は今まで無かった。



「今度は、いっくんの買い物、しようね」


「また今度な。

……… さて、休憩するために、ケーキ買いに行くか」





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