ティアラ2
背後で自動ドアが開く音がした。彼女も店に入った様子。

「……っ」
気が緩んだせいか、肩の力が抜けたと同時に視界がぼやけた。泣きたくなくて、指先で涙を拭うあたし。

すると、店の裏口のほうから聞き覚えのある声がした。

「あー、腰いてぇ」
「店長、人使い荒すぎ」
足音を立てないようにそうっと近づくと、古い棚を抱える竹下くんたちがいる。

店に来たことを知られたくなくて、あたしは急いでここを去ろうと思った。けれど、そのとき……。

「なぁ……あのふたり、できてんのかな?」
竹下くんが気になる話を始めたの。
思わず立ち止まってしまう、あたし。
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