ティアラ2
ドアが閉まると、ふたりの声も途切れた。息を潜めていたあたしは、ふうっと息をつく。

「……」
出かけたんだ、ふたりで。

別れてから、ふたりのそういう姿を想像することはあった。でも、実際にしていたと耳にしたら……。

「…………」
ひいたはずの涙が、また溢れてくる。
あたしは下唇をキュッと噛み、こぼさないよう上を向いた。

夏の空は、6時を過ぎても明るくて……惨めな姿を隠すこともできない。



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