ティアラ2
「ふざけんじゃないわよ」

着せられた真っ白なワンピースは、わりとシンプル。花びらのように重ねられた裾には、生地と似た色の花柄の刺しゅうがたくさん入っているけれど、それはパッと見じゃ気づけないほど地味なもの。

頭にも、白くてフワフワした長めの羽をいくつかつけられた。結われている間、あたしは鏡ごしに見たそれらを、綺麗だなって思っていたの。髪に馴染んでいて、まるで天使にでもなったかのような気分だった。でもね……。

「なんでスッピンで撮られなきゃいけないわけ!?」

メイクしてもらうから、と思って今日は簡単な化粧で家を出たの。だけど、アカネさんはクレンジングした顔をケアして、テカリを抑えただけだった。ファンデーションすらも塗ってくれなかったの。
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