ティアラ2
「ん?」と振り向く透吾の笑顔には、いつもの皮肉さなんてひとつもなく、優しさに溢れた表情だった。

「……」
口を開いても言葉が出てこない。
なんて言えばいいのかもわからなくて。

あたし、透吾が好きなの? でも彼には「本命」がいるし、あたしは期間限定のモデル。……撮影が終われば、こんなふうに会うこともなくなってしまう。それに、あたしはまだ……。

「何?」
「……えっと」
口ごもると、彼は片目を細めて首を傾げる。言おうと思えば思うほど、頭の中がこんがらがった。そのとき、だ。

パンッパンッ、という音が耳に響いた。一瞬で周りにいるひとたちが、賑やかに騒ぎ出す。
明るくなった空に目を向けたとき、隣で透吾が「始まったな」とつぶやいた。
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