ティアラ2
ドキッとした。

彼の瞳に小さく映る、自分の姿。
周りはガヤガヤ騒がしくて、こんな通り道で立ち止まっていたら、邪魔だと思われるはず。だけど、彼の顔から目が離せなくて、体も動くことを忘れてる。

「最近おかしいぞ? なんか悩んでる?」
「……別に」

熱を冷ますように、手の甲を頬に当てながら目を伏せた。すると、彼はあたしの頭に手を置いて「そっか」とつぶやいた。

「…………」
いっそのこと、この感情を口にしてしまおうか。言ってしまえば楽になるのかもしれない。ふと、そんなことを思った。

「ねぇ」
別に、告白とかじゃないし。
「……ねぇ透吾」
言葉ではうまく表せられない、複雑な感情。好きとかじゃないけれど、最近のあたしは確実に、透吾を男として見ている。
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