ティアラ2
「そろそろ出なきゃ」
長居していたら、入ったことがバレちゃう。あたしは急いで、手にしていた分厚い経済学の本を棚に戻しにいく。

窮屈な隙間に本をグイグイ詰めながら、廊下を気にするあたし。リビングからの足音が聞こえてこないことを願っていた。

けれど、よそ見をしていたせいで、棚に入っていたものがコトンと足もとに落ちてしまった。

「何これ……」
薄い水色の冊子。

勝手に見るのはダメだとは思ったけれど、棚にある本とは明らかにちがうソレが気になったあたしは、しまう前にチラッと中を覗いた。
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