ティアラ2
「……えっ」

それは、通常のサイズよりも少し大きめの写真が挟んであるファイルだった。
「…………」
何これ、が唯一の感想。

「こーら! ひとの部屋に入るな」
あ然としていたあたしは、部屋に近づく足音にも気づかなくて。
「……誰、このひと」
見つかっても、謝ることすら忘れていた。

「ちょ……勝手に見んなよ」
慌てて、あたしの手から水色の冊子を奪う彼。
「誰なの、このひと!?」

パニクっていたあたしは、完全に質問の言葉を間違えていた。「誰なのか」なんて、もう知っている。あたしが聞きたいのは、この写真に映ったひとの名前じゃなくて「なぜ、このひとの写真がここにあるのか」だった。
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