ティアラ2
「……あたし」
冊子にこぼれた涙。

話し始めた笹野京香から、ドア際にいる透吾へと視線を移した。彼は優しい目で、彼女をじっと見つめていた。

「あたし、この角度は好きじゃない」

「……え?」

予想外だった。
この展開でその言葉はないでしょー!?

ありえない、と呆れるあたし。だけど、彼女は冊子のページをペラペラめくりながら、写真に文句をつけていく。

「これも……この写真もなんか嫌。これなんか最悪……下から撮るとか」

涙声で囁かれる不満。
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