彼女ノ写真
今の季節、夕陽の沈むスピードは初夏のそれとは違う様で、気のせいか速く感じる。




そんな中、汗まみれになりながら、立ち漕ぎなんぞしようものなら、虚しさが形となって、目から止め処なく溢れてきてしまう気さえする。




ホオを撫でる風の冷たさが、自分の体温の高さを無理矢理に教え、指先だけが辺りの温度と一体化し、冷たく孤立する。




吐いた息が白く篭り始め、今の季節を分かりやすく教えた。




僕自身から沸き立つ透明に近い湯気は、マンガやアニメなんかで描かれる闘気の様な男らしい物に見えて、何と言うか、優越感と言う、僕にとって不慣れな感情を湧き上がらせる───。




───でもやっぱり、慣れない感情は持たない方が良い様で、、、。




カッガチャガチャッン!!と言う音と共に、両足が無作法にバタついた。




ここは陸の上だって言うのに、まるで水上の白鳥の様に、力一杯、両足をカラ回した。




なんて事だ。───チェーンが外れた。




またまたまた外れた。





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