彼女ノ写真
7ーSSS
マキ先輩に、ダッシュと号令を受けたのだけれども、私の足の速さは、シキちゃんのそれよりも遥かに速い。




ただ、私の足が速い訳じゃない。シキちゃんが極端に遅いのだ。




したがって、私が全力で走った場合、あっという間に追いついた上に、軽く抜き去ってしまえる。




誰かを追い駆けるのに、手を抜くって行為に違和感を感じたりもするのだけれども、彼女の為にも、ある程度の距離が必要だと思った。




私に後を追われている事ぐらい、彼女だってもうとっくに、気付いているだろう。




それでも立ち止まらないのだ。




何処か目指す場所があるのか、あるいは心の整理を付ける時間が必要なのか、私は付かず離れず、そんな距離を保ちながら彼女の気分に身を任せた。




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