スキの魔法
「おはようございますっ侑志様♡」
…気持ち悪い声を出すな。あと、その笑顔も。
そう、心の中で悪態をついて。
「おはよう」
表の笑みを女に向ける。
「あの…昨日のパーティーに、あの方はいらしてなかったんですか?」
“あの方”?
不思議に思い、目の前の女の視線を辿ると、綾だった。
もしかして…気付かれてなかった?
まぁ…あれで気付く方が凄いかもな。
可笑しくなって、バレないようにクスリと笑った。
「いましたよ。」
「……え?」
「ゆーしッ!!」
げッ……。思わず顔を歪める。
「やっほ~♪ねぇキミ、侑志、ちょっと借りてもいー?」
「あっはい!!」
大稀の笑顔に、女は頬を赤く染める。
「ありがとう!」
俺は抵抗する事なく大稀に腕を引っ張られていく。