元気あげます!
裕文の後ろについて、会場である大会議室の階へ入ると、皆がペコペコと頭を下げて迎えてくれていました。
社長と社長秘書に見えているに違いない・・・。とひかるは手が震えてきました。
挨拶や進行説明があり、関連会社の人たちのプレゼンが始まると、ひかるの手はますます震えてきました。
((だめだ。手が・・・これじゃお茶もお出しできない。))
すると、裕文がひかるの手を両手でつかんでギュッと握りました。
「もっと僕に頼れ。社長だと思うな。今日は2人でここを勝ち残らなきゃいけない。
僕に恥をかかせないでほしい。僕のために手を貸して。」
小声で裕文に言われて、ひかるの決心はつきました。
手の震えはなんとか押さえられ、次の裕文の出番のために、ひかるは走りました。
プレゼン用資料をすばやく配っていき、パソコンのチェックやボードのチェックなどをこなしていきました。
OKを出すと裕文のプレゼンテーションが始まりました。
ふだんの仕事ぶりからでも、聡明さがうかがわれる人だと思っていたのに、今日はそれ以上に高度な提案、未来予測など、会場全体が引き込まれている手ごたえをひかるでもビンビンと感じていました。
そろそろ終盤となり、お茶受けとお茶を新しいものにとりかえ、新しいおしぼりも用意しました。
裕文の最後の挨拶が終わるころには、プレゼンについての感想、要望を書いてもらう用紙も配り終えました。
もう、無我夢中のひかるでしたが、おじぎをして下がろうとしたときです。
ひかるの左手首をつかまれて・・・「えっ・・・」
「おどろいた。・・・よくがんばったな。」
一言ひかるに言葉をかけたのは、千裕でした。
お屋敷に初めて来たときに自己紹介したときの、いかにもビジネスマンな格好で、サングラスをはずしながら会議室の出口付近に立っていました。
ひかるはぺこりと会釈をして、大会議室を出て控室へと向かいました。
((まさか、千裕様も来てたなんて・・・。))
手の震えが再び始まってしまいました。
しばらくして、大きな花束を抱えた、裕文が控室にやってきました。