元気あげます!
ひかるは夜中に目を覚ましました。
玄関に近い床に敷布団が敷かれ、その上で寝ていたのです。

「倒れるように寝ちゃったんだ。幸恵さんが転がしてくれたのね。」


布団をいつも寝ている位置まで移動させ、コップに1杯水を飲みました。

((高校を卒業したくないな。・・・・・だめだとわかっているのに、千裕様に助けてほしいと思う。だめだよ・・・私はもっと強くならなきゃ・・・。))



ひかるは学校はいつものように登校し、授業を済ませましたが、出社することにためらっていました。

((もうそろそろ出ないと遅刻だ。でも・・・裕文様になんて言えば・・・。
すごく気まずい。まさか他にも私だけが知らないことがあるのかしら。
生活費は稼がなきゃならないし、仕事は続けなきゃ・・・。
でも、今日は。今日だけはせめて、行きたくない・・・。))


放課後の教室でひとり自分の席にすわって、うつむいていると、下を向いた視線の前に白い服が・・・。


「仕事さぼりか?」


「千裕せんせ・・・!どうしてここに?」


「通りかかったら、誰かいるなと思って来てみたら・・・な。
いつもそそくさと仕事行ってたくせに、どうした?
裕文がネチネチといじめるのか?」



「どうして裕文様と仕事してるって知ってるんですか?」


「ああ、2人でプレゼン来てたから。かなり綿密に打ち合わせしてないと、あんなにスムーズに進まないと思って。
あれはほんとに驚いたし、痛かった。」


「痛かった?」


「あ・・・こんな話はここではしたくないな。
仕事行かないなら今日はさぼればいい。そうだなぁ・・・ついてくるか?」


「はいっ」


久しぶりに、優しくしてくれる千裕にひかるは素直に返事をして、正門の内側で千裕を待っていました。

すると、正門前に車が止まり、裕文が降りてきました。
門内にいるひかるを見ると、すぐにひかるの腕をつかんで言いました。


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