リアル
「それじゃあ……」
「此処から先の話は、もうするべきじゃ無い」
 脅しとも取れる低音域の声で、私は坂部に対し言外に釘を刺す。
「これ以上、私が此処に居ても意味は無いね」
 私は坂部にそう云い残して立ち上がる。
「もう帰るんかいな?」
「帰って寝ますよ」
「夜はこれからやで」
「これ以上、面倒は抱き込みたくない」
「割り切った性格や」
「道を見誤らない為には、譲れない価値基準を持つべきだと云うのが、私の持論でね」
 私の言葉に、関は妙に納得して頷く。私は静か過ぎる店内を横切りドアの前に立ち、スッと坂部に視線を向ける
「先に云って置くが、君が求めている答えが非合法に成る程に、報酬は必要に成ると思って置いた方が良い」
「……分かりました」
 私は、坂部の覚悟の篭った言葉を最後に、騒がしい街の雑踏に身を委ねる。今回の一連の流れは、何れは「スナック空」のママに伝えなければ成らない。私は、トリップした頭の侭で街の中を歩き出した。

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