本当に愛おしい君の唇
第29章
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 バスルームでの男女の混浴は絶好のスキンシップとなる。


 治登は直美の髪と体を洗い、自分も体を綺麗にしてしまってから、シャワーで洗い流した。


 五月最後の週末も終わり、もうすぐ六月となる。


 二人で過ごせるときが何よりも大事なのだった。


 治登はふっと物寂しさを感じてしまうことがある。


 普段はずっとルーデルの専務室で書類を読むのが仕事だからだ。


 緊張感はあるのだが、正直なところ、幾分しんどさも感じている。


 だが休みの日に直美と会うことで、疲れが取れてしまえば、ウイークデーはフル回転で仕事していた。


 ホテルの部屋のベランダに二人で揃って出、夜景を眺める。


 東京の街が見渡せた。


 治登はネオンが灯る夜の繁華街を見ることでいい気分になれる。

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