本当に愛おしい君の唇
 特に彼女は飲める性質(たち)じゃないらしく、軽くワインをグラス一杯飲んだだけで、すでに酔い出している。


 治登は料理を一通り食べ終わり、近くにいたウエイトレスに、


「君、コーヒーを二人分淹れてくれないか?」


 と言った。


「かしこまりました」


 長い黒髪が肩まで掛かったウエイトレスが厨房へと入っていく。


 そして十分後に食後のコーヒーを注いで持ってきた。


 治登も直美も口を付ける。


 アメリカンで淹れてあって、飲みやすい。


 夕食を食べ終わって、胃の中は満たされた。


 治登が、


「今からホテル行こうよ」

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