本当に愛おしい君の唇
第5章
    5
 新宿のホテルに部屋を取り、キーを受け取った治登と直美が室内に入ると、ほぼ二人揃ってベッドにダイブした。


 二月も終わりに近いので、暖かさがある。


 治登がベッドに横になっていると、直美が脱ぎ始めた。


 上半身を一糸纏(まと)わず露(あらわ)にした状態で、治登の横へと入っていく。


「優しく抱いてあげるよ」と治登が切り出し、直美を抱き始めた。


 普段旦那である洋介から滅多に抱かれていない直美を腕で包み込む。


 四十代だが、体がとても柔らかい。


 治登が彼女の下着類を取り、全身のありとあらゆる感じる部分を撫で出した。
 

「感じてるんだな?」


「ええ、とっても」


 直美のその言葉を聞いた治登が愛情という名の表現を繰り返す。


 彼女は肉体がまだ若くて、健康なのだ。
< 25 / 171 >

この作品をシェア

pagetop