【K.A】Alice in a BoX
「あら、今日はとっても珍しい香りね」

花が囁くと、マッドは甘い声で答えた。

「珍しい茶葉が手に入ったのでね。珍しい客人には、珍しいお茶でお迎えしなければ」

そう言うと、花達は口々にそうね、と囁きあった。

「ところでクレスト。お前はいつまで客人を立たせておくつもりた?」

クレストの言葉に、慌ててアリスを椅子に誘った。

「悪い、アリス。どうぞ」

意外にも慣れた手つきだったことに、ありすは少し驚いた。

「さて、アリス。早速自己紹介でもしてもらえるかな?」

「…え?」

マッドの言葉に、ありすは一瞬、耳を疑った。

「あ、あの、それよりもちょっといい?」

「なにかな?」

にこにこと笑っているマッドに、ありすは思いきって聞いてみた。

「私の名前、知ってるのよね?」

「それがどうかしたのか?」

不思議そうな顔のマッドに、ありすは少し躊躇いながら続けた。

「…名前知ってるのに、自己紹介しないとダメなの?」

困惑したありすの表情に、マッドも困惑した表情をみせる。

「…君は、人に名前を聞くのに、自分は名乗らないのか?」

「は?」

マッドの言葉に、ますます困惑する。

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